ニコニコ超会議「ユーザーニコ生問題」に関する考察 後編

1月15日の5周年記念新サービス発表会(β)で、ニコニコ超会議の概要が発表されました。
http://blog.nicovideo.jp/niconews/2012/01/028978.html
超ボーマス20、ナマケット、ニコラジをはじめ、多くのイベントが催されるようです。

同時に生放送ルールの改訂が行われ、「ゼッケン着用の義務化」「生主区分の明示」
そして生放送エリアの記述が無くなり、「一般生主は原則登録制」となりました。

そしてコスプレレギュレーションも発表されました。
これに関しては、生主や一般来場者にも呼びかけるべきルールも盛り込まれていたり、
(飲酒・喫煙、エリア占有、アトラクション行為、ナンパ、盗撮など)
まだまだ全体としては再考の余地がありますが、とりあえず一通り整備されてきたようです。

というわけでお待たせしました。ニコ生考察・後編です。

前編では、ニコ生を行う上での問題点を書き出してみましたが、
後編では、具体的にどういう問題が起こるのか?というのを詳しく考察します。
そして、ニコ生だけでなく一般的な撮影、コスプレ撮影も含めて考えます。
最後に、「撮影」に対する具体的な対策案を書き出していきます。


撮影されるリスク

撮影行為はニコ生に限らず、様々な場所で、様々な形で行われています。
日常の中では、テレビ局のインタビューや映画の撮影、監視カメラ、
卒業式の記念撮影、プリクラ、そして携帯で友達とスナップショット等々・・・
「撮影」だけを抜き出してみれば、その行為はあまりにも身近なものです。
中には「何で勝手に撮っちゃいけないの?」と思う人もいるかもしれません。

というわけで、撮影される「リスク」を詳しく解説します。

撮影されるリスクはほぼこの2点に絞られます。

  • 撮影された画像から個人情報が特定される可能性がある
  • 画像がネット上に残る可能性がある

撮影された姿や画像に映っている物から、個人が特定される可能性があります。
また、デジカメや携帯で撮られた画像の場合、撮影情報(EXIF)が記録されており、
カメラや携帯の機種、撮影時間、ものによってはGPS情報が分かります。

故意の暴露以外にも、暴露ウィルス等でネットに画像が流出する事もあります。
流出した画像次第では、個人でも決して油断はできません。
画像がネット上に流出してしまえば、回収はほぼ不可能になります。

ネット上に画像が残るリスクの実例は、「例のアレ」を見れば一目瞭然です。
他にも、ここでは書きませんが、社会的に被害を受けた実例がいくつもあります。


リスクは、自発的行動をすればするほど大きくなる。

しかし、普通に生活をしている限りでは、実害になる事はありません。
というのも、個人情報を解読されるような実害にまで発展するには、
他人の目を引くスキャンダルなど、いわゆる「燃料」や「火元」が必要です。
過去の流出スキャンダルを見てみても、画像だけが問題になるような事はなく、
犯罪行為を行った、大企業の不祥事だ、エロシーンを撮った画像が流れた、
といった「燃える理由」を伴っている事がほとんどです。

燃料になりうるのは犯罪やスキャンダルだけではありません。
うっかり発言であったり、勘違いや誤解であったり、嫉妬であったり、
つまるところ、発信しているものであれば何でも燃料になりうるのです。

そして、この事はニコニコ界隈で活動を行うユーザーにも当てはまります。
つまり、絵師、ボカロP、歌い手、踊り手、演奏者、実況者、そして生主、
いずれの方も、様々な形で自分をアピールしている、という意味で、
炎上するリスクを持って活動をしています。
炎上した所に、画像投下、個人情報投下といった「延焼」となれば、
回復できない実害を伴ってしまうかもしれません。

この事から、表立って活動をしてるユーザーは十分なリスク管理をしています。
その代表例が顔出しの可否、他にも様々な線引きがあります。
リスク承知で晴れ舞台に出る方もいれば、ひっそり活動する方もいます。
ファンであれば、その線引きを尊重し守らなければなりません。

炎上するようなネタを出す奴が悪い、有名税や自己責任との考えもありますが、
それ以前に、他人の行動で炎上する事態は決してあってはなりません。

ファンやユーザーの行動によって、才能あるユーザーを失う事態になれば、
ニコ動、そしてニコニコ文化にとっても大きな損失となります。
超会議がそうした悲惨な現場になる事は避けなければなりません。


「撮影」に対する具体的な対策案

超会議ではどのような対策をすればいいのか?を考察していきます。

現在のところ、ニコニコ超会議の会場内に持ち込まれるカメラは、
以下の5種類と考えられます。

  • 公式生放送、および出展者のカメラ
  • ガジェット通信、ASCIIなどの取材カメラ
  • 申請者によるユーザー生放送のカメラ
  • コスプレ撮影目的のカメラ
  • 来場者が持ち込むカメラ・携帯電話・スマートフォン

公式、取材、出展者に関してはゼッケンや腕章の着用が義務付けられますし、
当然ルール遵守を徹底するはずなので問題はありません。

という事で、対策すべきはユーザー生放送を含めた来場者のカメラです。


・ 無許可の野良配信まで考慮して対策するなら、撮影行為自体を取り締まる。

というのも、ぶっちゃけiPhoneでニコ生できるので。

iPhone弄ってる人が実はニコ生配信やってる、気づく人はまずいないでしょう。
じゃあiPhoneだけ規制すれば、というのも現実的ではありません。
ユーザーニコ生というと「ノートパソコンにWebカメラ」がテンプレ化していますが、
その思い込みは完全に捨てた方がいいかもしれません。

現状どんなカメラでもニコ生に使える、と考え

  • 生放送禁止エリアでは、カメラや携帯のレンズ面を人に向けてはならない。
  • 移動時や撮影をしない場合は、必ず機材をバッグ等に収納する。

をルール上に盛り込むべきと考えます。
要はレンズ向けなきゃ映らない、という単純な発想ですが効果は絶大です。
「人にレンズを向ける行為」そのものを取り締まるので、カメラ区別、
そして許可や野良を問わず、レンズを上げようとする時点で即警告出来ます。

同様に、カメラや携帯を手に持ちながら歩くのも望ましくありません。
そもそも人の多さを考えれば、通路上で携帯を使うのは危険です(ニコ生も同じ)
メール等は隅や端、休憩所で行うべきでしょう。

やむを得ない場合はカバーをかける、等も盛り込めるといいかもしれません。


・ 生放送禁止エリアとの間に物理的な隔壁を用意する

これも当たり前なのですが、物理的な隔壁があれば撮影できません。
エリア外からズームで狙われる事もあるので、隔壁の安心感は桁違いでしょう。
同時にゲートチェックも実施、例大祭での実績もあり最も効果がある対策です。


・ コスプレエリアにも一部生放送禁止エリアを設定する

一般の人には意外と思われるかもしれませんが、
コスプレイヤーの中には、撮影NGの方が結構いらっしゃいます。
合わせや交流、友達同士での見せ合い等、コスプレを着る理由は様々です。
全員が全員撮られたい!と思ってるわけではありません。
中には、生放送を回避したいと思う方も多いでしょう。

超ボーマス20の会場内にもコスプレエリアが設定されるようですが、
要綱は現在準備中で、オールジャンルOKなのかはまだ分かりません。

コスプレイヤーも立派なニコニコユーザー、その存在は守られるべきです。
これを考慮し、オールジャンル向けの生放送禁止エリアの設定が必要です。


・ 出展者、サークル参加者専用のバックヤードを設定する

有名なユーザーの場合、休憩時・入退場時の「出待ち」を狙われるケースがあり、
そうなったらトイレや食事休憩が難しくなります。
そうしたユーザーも、フードコートで色々食べたり飲んだりしたいでしょうし、
人の目を気にする事無く出入りしたいと考えます。

バックヤードを通るだけで全フロアに移動でき、誰にも気づかれず入退場出来たら、
心理的負担の軽減になります。


と、以上の4点を具体的な提案とします。
ユーザーニコ生を極力制限せず、かつ物理的に効果のある対策として、
もっとも現実的なものではないでしょうか。

大事なのは、開放できる所は徹底的に開放し、閉める所は徹底的に閉める。
そして、来場者には、どうされるかを選択する機会を与える。
両者を尊重しつつ両立させるには、徹底した棲み分けが求められると考えます。

超会議で行われる撮影は、来場した友達同士、オフ会の記念撮影がメイン、
あとはコスプレやコンパニオンの撮影で大半を占めると思われます。
ユーザーニコ生は百数十人程度、そして盗撮はそれこそ極々わずかでしょう。
比率としては少ないかもしれませんが、ユーザーニコ生はそれだけの魅力、
そして危険性を持ち合わせています。
生主さんは、この事を肝に銘じ、ルールを遵守し、配信に望んでもらいたいです。

以上、考察でした。
引き続き、プロジェクトに向けて色々進めていきます。